こんにちは。
食品OEM・PBポータルサイト「食彩名鑑」です。
本日は、大阪府八尾市・羽曳野市・河南町の3拠点でサツマイモ栽培を行う株式会社オオサカポテトの渡邊氏にお話を伺いました。
新規就農からわずか3年で30人規模の組織へと成長させ、規格外品を焼酎やバターへと生まれ変わらせる「都市型農業」の新しいモデルについて語っていただきました。
- 耕作放棄地を活用したビジネスモデルに興味がある方
- 脱サラして農業への参入を考えている方
- 規格外野菜の加工・商品化(ロス削減)に悩んでいる方
という方々にとって、非常に学びの多い内容となっています。
ぜひご覧ください。
コラボ対談者(登場人物)
辻本東京農業大学卒業後、食品メーカーに入社。食品系オウンドメディアを複数運営しながら法人様に業務改善・集客支援を行っています。食品メーカーの営業マン時代、OEM生産・PB商品化に携わっていた経験から「食彩名鑑」を立ち上げました。
資格:惣菜管理士資格試験 1級取得・食品表示検定 中級 取得



株式会社オオサカポテト 代表取締役
大阪の休耕地を活用し、ブランドさつまいも『夢シルク』の生産・販売をする会社を経営しています。体験活動を通して地域を巻き込み、生活者全員で育てる新しい農業のモデルを模索しています。HPはこちら。
広告業界から農業へ!「止まらなくなった」趣味が仕事に



本日は、株式会社オオサカポテト 渡邊さんとの対談をさせていただこうと思います。よろしくお願いします。



よろしくお願いします。



簡単に自己紹介していただいてもよろしいでしょうか。



株式会社オオサカポテトの渡邊と申します。僕らは大阪の八尾市、羽曳野市、河南町の3拠点で「夢シルク」というブランドのサツマイモを作っています。3年前に僕が新規就農して、今はメンバーや福祉の方々、パートさんを含めて約30人前後で活動しています。



ありがとうございます。3年前から始められたとのことですが、もともと農家さんだったのですか。



もともとは新幹線のCMやキャンペーンをしている会社にいました。大阪に転勤してきた5年前に、週末の趣味として八尾市で農業を始めたのがきっかけです。



なるほど。



トマトやナスなど色々作ったのですが、どんどんハマっていってしまって。もう「止まらなくなって農家になった」という感じですね(笑)。



そうなんですね。数ある作物の中で、なぜサツマイモに着目されたのですか。



趣味から副業に切り替わった時、販売だけだと単価も上がらないし手間もかかる。そこで「都会ならではの農業をしよう」と収穫体験を始めたんです。



はい。



トマトやトウモロコシもやりましたが、秋のサツマイモ収穫体験に一番人が集まったんです。さらに耕作放棄地問題なども意識する中で、「都会でサツマイモを栽培すれば、面白いビジネスが生まれるんじゃないか」と確信して、退職届を出しました。



なるほど。2021年に就農される前から、SNSなどで仲間を募っていたのですね。


想定外の「規格外品」と「ロス」の危機から生まれた加工品



順調に収穫量を増やしてこられたと思いますが、商品化にはどのような経緯があったのでしょうか。



当初は、収穫体験とスーパーへの生食販売だけでモデルを考えていたんです。でも、予想以上に子供たちが掘った芋が傷だらけになったり、形が悪かったりして。



はい。



全体の2〜3割は規格外品になることや、寒くなると芋が腐ってしまうことを、実はまったく想定していませんでした。このままだと全部ロスしてしまうという危機感から、保存ができる「ペースト加工」の業者さんを必死で探しました。



なるほど。オリジナル商品を作りたいというより、まずはロスの課題解決が目的だったのですね。



そうなんです。そこでご縁をいただいた株式会社ミールファームさんが、たまたま「大阪産の安定供給できる原料」を探されていて。そこからライフさんの「大阪もん」シリーズとして、僕らの芋を使った「お芋バター」が誕生しました。



そうなんですね。ひょんなきっかけが商品化に繋がったのですね。



ライフさんのバターは期間限定でしたが、せっかく良いレシピが完成していたので、パッケージを変えて自社商品として販売することにしました。それが「オオサカポテトのサツマイモバター」の始まりです。他にもポップコーンなども同じような経緯で自社商品化していきました。
焼き芋を飲んでいるような味わい。こだわりの芋焼酎「阿呆」



最近では焼酎にも力を入れられていますよね。



はい。焼酎と芋けんぴをメインにしています。各産地を調べると、サツマイモの出口は焼酎、芋けんぴ、ペースト、干し芋の4つに絞られます。僕らは「大阪をサツマイモの産地にする」というスローガンを掲げているので、加工品への注力は不可欠でした。



なるほど。



焼酎を作りたいと探していたところ、岸和田の「株式会社元朝」さんにご縁をいただきました。ただ、大阪では焼酎の蒸留ができる場所が限られていたので、今は宮崎県の「株式会社落合酒造場」さんに芋を送って作ってもらっています。それが芋焼酎の「阿呆」という商品です。



「阿呆」に関しては私も居酒屋でいただいたことがありますが、非常に美味しかったです。



ありがとうございます。通常の焼酎は「黄金千貫」という白い芋を使いますが、僕らはスイーツ用の「シルクスイート」を使っています。だから、本当に焼き芋を飲んでいるようなホクホクとした甘みがあるんです。



そうなんですね。



ただ、シルクスイートは濃厚で粘り気が強いので、製造中に機械のラインが詰まって止まってしまうんです。製造元には苦労をかけましたが、それでも形にしてくれた落合酒造場さんには本当に感謝しています。
大阪をサツマイモの産地に。耕作放棄地を希望に変える



最後に、株式会社オオサカポテトさんが今後目指していく未来について教えてください。



目標は「大阪をサツマイモの産地にする」ことです。都会の子供たちに自然豊かな未来を残したいですし、都会の人でも農業に携われる社会を作りたい。



いいですね。



これから高齢化で耕作放棄地が増えていきますが、「大阪だったらオオサカポテトがあるから大丈夫だよね」と言われるような、受け皿となる組織でありたいと思っています。



なるほど。



みんなで関わった芋が、大阪中のいろんな加工品になって、「あ、これ僕が掘った芋だ」とか、地域でポコポコと商品が生まれる未来を作れたら楽しいですね。



毎年1,000人規模の収穫イベントもやられていますし、その輪が広がっていくのが楽しみです。本日はありがとうございました。



ありがとうございました。
最後に
今回は、株式会社オオサカポテトの渡邊様と対談させて頂きました。
広告業界という異業種からの参入ならではの視点と、地域農業への熱い想いが融合した素晴らしいお話でした。
渡邊さん、対談して頂きありがとうございました。




